「全部入れたい」という要望の裏側
2026年1月、ある企業様のNotion導入支援を進めていた。
初回の打ち合わせで、クライアント様からこんな話があった。
- 担当者Aは報告書作成などの業務を担当
- 担当者Bは別の業務を担当
- それぞれが見るべき情報が違う
- でも、Notionには全部入れたい
「全部入れたい」。この要望は、Notion導入の現場でよく聞く。
でも、「全部入れる」と「全部見せる」は、違う。
【Before】「全部見える」が、迷いを生む
多くの企業では、スプレッドシートに全ての情報を詰め込んでいる。
売上管理、タスク管理、顧客情報、プロジェクト進捗。全部が1つのシートに並んでいて、関係ない列も全部表示される。
Notionを導入しても、この「全部見える」状態を引き継いでしまうと、結局同じことが起きる。
担当者Aが開いたページに、Bさんの業務情報が並んでいる。Bさんが開いたページに、Aさんの報告書が並んでいる。
「自分に必要な情報が、どこにあるかわからない」
情報は全部入っているのに、見つけられない。これが、Notion導入で最初にぶつかる壁だ。
【Notice】構築前に、設計図を描く
今回のクライアント様の場合、私はこう判断した。
「まず、誰が何を見るかを決めましょう」
1. 担当者ごとの「見るべき情報」を洗い出す
AさんとBさんで、それぞれ何を見る必要があるのか?
- Aさん: 報告書の進捗、提出期限、関連資料
- Bさん: プロジェクトのタスク、クライアント情報、納品物
この「見るべき情報」を、構築前に整理する。
2. 共通で見る情報と、個別で見る情報を分ける
全員が見るべき情報(会社全体のカレンダーや、プロジェクト一覧)は、トップページに置く。
個別で見る情報(Aさん専用の報告書リスト、Bさん専用のタスクリスト)は、それぞれ専用のページに置く。
この設計図を描いてから、Notionを構築する。
3. 「迷わない」を、設計の軸にする
設計の軸は、「迷わない」だ。
Aさんが自分のページを開いたら、自分に必要な情報が全部ある。Bさんが自分のページを開いたら、自分に必要な情報が全部ある。
これを実現するために、Notionの階層構造とリンク機能を使う。機能を知っていることではなく、「どう使えばクライアントが迷わないか」を考えることが、設計の仕事だ。
【After】「自分のページを開けば、全部ある」
構築後、クライアント様からこんな声をいただいた。
「自分のページを開けば、必要な情報がすぐ見つかる」
これが、「誰が何を見るか」を最初に決めたことの成果だ。
- 構築前に設計図を描く: 「誰が何を見るか」を最初に決めることで、後から迷わない構造が生まれる
- 「全部入れる」≠「全部見せる」: 情報は一元管理しつつ、見せ方は役割ごとに変える
- 「迷わない」を設計の軸に: 機能を知っていることではなく、クライアントの業務に合わせて適切に設計することが重要
設計は、クライアントの業務を理解することから始まる
Notionの機能は、誰でも学べる。
でも、「この企業には、どの機能をどう使うべきか」を判断するには、クライアントの業務を理解する必要がある。
担当者Aは何を見るのか。担当者Bは何を見るのか。共通で見るべき情報は何か。
この問いに答えることが、Notion設計の出発点だ。