「問題集をデジタル化したいんです」
2026年1月、オンラインプラットフォームでこんな相談を受けた。
物理の問題集(105ページ)をデジタル化したいという依頼だった。iPadのGoodNotesで学習するため、問題集を持ち歩かなくて済むようにしたいとのこと。
当初はOCR処理を検討されていた。しかし、精度とコストの観点から、既に契約していたAIツールを活用する方向に切り替えた。
この判断が、どう導き出されたのか。その記録を残しておきたい。
【Before】OCR代行の見積もりと、その課題
問題集のデジタル化には、いくつかの選択肢がある。
1. OCR代行サービスを使う
従来の方法は、OCR代行業者に依頼することだ。105ページの問題集を文字起こししてPDF化すると、開発費を含めて一定のコストがかかる。
精度は高いが、個人で負担するには高額だ。
2. プリンターでスキャンして自分で管理
自宅のプリンターでスキャンして、GoodNotesに取り込む方法もある。
しかし、相談者からは「背景が濃くなって文字が見にくくなる」という課題が挙がっていた。見開きでスキャンすると精度が落ちる問題もある。
【Notice】AIツールの比較検証という選択肢
今回の提案は、「AI活用サポート」だった。
相談者は既にGenSparkという有料AIツールを契約していた。だったら、そのツールを最大限活用する方法を一緒に探す方が、コストも時間も節約できる。
テストした3つのAIツール
セッション中に、以下の3つのAIツールを実際に試した。
1. GenSpark(既に有料契約中)
結果:最も有望な選択肢
- 5ページのテストで良好な精度を確認
- PDF出力機能あり
- 既に契約済みなので追加コスト不要
課題:
- 一部の選択肢が省略される場合あり
- 処理に15-20分程度かかる可能性
- モデル選択機能が現在利用不可(UI変更の可能性)
2. Gemini Pro(無料枠あり)
結果:精度が高く、数式も綺麗に表示
- Chrome拡張機能「GoFullPage」でPDF出力可能
- 従来のOCRよりはるかに高精度
課題:
- 無料版は1日の使用回数に制限あり
3. NotebookLM(無料)
結果:問題の読み込みは可能だが、数式の文字起こしが不完全
- 無料で50ファイルまで対応可能
- スマホ・iPadでも使用可能
- フラッシュカード、学習ガイドなどの機能あり
推奨したアプローチ
検証の結果、以下のアプローチを提案した。
主要な方法:GenSparkでプロンプト最適化
- 問題部分のみを文字起こし
- PDF1ページにつき設問1つ
- 選択肢や本文を省略しない
- 画像は必要に応じて含める
プロンプトは2ステップに分ける:
- AIが内容を理解して文字起こし
- それをPDF化
最初は5-10ページの小規模テストから始めて、出力を確認して調整。徐々にページ数を増やす。
代替案:Gemini + スクリーンショット
- Gemini Proで問題を表示
- GoFullPage拡張機能でPDF化、またはスクリーンショットを撮影
- GoodNotesに直接貼り付け
【After】「次も自分でできる」仕組みが手に入る
このサポートの価値は、「次も自分でできる」という点にある。
OCR代行に依頼すれば、確かに105ページは綺麗にデジタル化される。でも、次の問題集が出てきたら、また依頼する必要がある。
一方、AI活用サポートなら、プロンプトの書き方とツールの使い方を一度学べば、次からは自分で対応できる。
- 既に持っているツールを最大限活用する: 新しいツールを契約するのではなく、既存のツールの使い方を最適化する方がコスト効率が良い
- 複数のツールを比較検証する: GenSpark、Gemini、NotebookLMを実際に試して、それぞれの強みと課題を確認。その上で、目的に合った選択肢を提案する
- 小規模テストから始める: いきなり105ページ全部を処理するのではなく、5-10ページでテストして精度を確認。プロンプトを調整してから本番に入る
- 「次も自分でできる」が重要: 代行サービスは一度きりの解決。AI活用は、次からも自分で対応できる仕組みを提供する
AIは「使い方」で精度が変わる
AIツールは、プロンプトの書き方で精度が大きく変わる。
「問題集をPDF化して」と指示するだけでは、選択肢が省略されたり、数式が崩れたりする。
でも、「問題部分のみを文字起こし」「PDF1ページにつき設問1つ」「選択肢や本文を省略しない」と具体的に指示すれば、精度は上がる。
この「使い方」を知っているかどうかが、AI時代の分かれ目だ。