「タスク管理、とりあえずスプレッドシート(Excel)でやっています」
私の元へ相談に来られる方の8割が、この状態からスタートします。
しかし、事業が成長するにつれて、そのシートは必ず「管理不能なモンスター」へと変貌します。先日ご支援したある企業のプロジェクトも、まさにその状態でした。
今日は、きれいごと抜きの「脱・スプレッドシート」のリアルな現場と、そこで私たちがどうやって混乱を鎮めたのか、その裏側(Behind the Scenes)をお話しします。
1. なぜ、スプレッドシート管理は破綻するのか?
クライアントの画面共有を見た時、言葉を失いました。
縦スクロールバーは米粒のような小ささ。「終わったタスク」を行削除するのが怖いからと、グレーの塗りつぶしで残しているため、現役のタスクを探すのに毎回30秒スクロールが必要でした。
さらに深刻だったのは「行のズレ」です。誰かがフィルタをかけたまま並び替えたせいで、「A社の案件」の横に「B社の請求額」が並んでしまっている状態。
「もう、何が正しいデータなのか誰にも分からないんです…」
社長のその言葉は、悲鳴に近いものでした。
- 完了したタスクが消えない:行が増え続け、情報のノイズになる
- データ整合性の崩壊:フィルタやソートのミスで行ズレが起きる
- タブ地獄:過去の情報が別シートに隔離され、検索できなくなる
2. Notionへの移行:ただの「コピペ」では意味がない
ここで多くの人がやる間違いが、「スプレッドシートの内容をそのままNotionにインポートすること」です。
これをやると、単に「場所が変わっただけのゴミ屋敷」がNotion上に出来上がります。
私が最初に行ったのは、ツールの設定ではなく、タスクの「構造化(設計図作り)」でした。
「階層」を作ることで脳を整理する
スプレッドシートは「平坦」です。しかし、実際の仕事は立体的です。
そこで、Notionのデータベースを以下のような階層構造に再設計しました。
- プロジェクト(大目的):例:新商品リリース
- 親タスク(マイルストーン):例:LP制作、広告運用
- 子タスク(日々の作業):例:ヘッダー画像作成、コピーライティング
こうすることで、「今、自分がどの山のどの位置を登っているのか」が一目でわかるようになります。
泥臭い技術:並び順を「強制制御」する
しかし、Notionに移行しただけでは解決しない問題があります。
それは「並び順の崩壊」です。
複数人で同じデータベースを触っていると、誰かが手動でドラッグ&ドロップして順番を変えてしまったり、データ量が増えすぎて意図しない表示順になったりすることが頻発します。
「手動並び替え」は便利ですが、チーム運用においては「再現性がない」ためリスクが高いのです。
そこで私は、裏側に「Sort_Num(並び替え用数値)」という制御用プロパティを実装し、システム的に並び順を固定しました。
- 最優先タスク:10
- 通常タスク:20
- 後回し:30
こうすれば、誰がどう触ろうと、システム側で強制的に正しい順序で表示されます。データ量が増えても表示崩れが起きません。
キラキラしたDXの裏側は、実はこうした地味な制御の積み重ねです。
でも、このひと手間があるからこそ、現場のスタッフはストレスなく直感的に操作できるのです。
3. 「明日やるボタン」が時間を創り出す
最後に導入したのが、「明日やるボタン」です。
夕方になり、やりきれなかったタスクが残っていると、人は自己嫌悪に陥ります。
そして、スプレッドシートではその行を翌日のエリアにコピペする手間が発生します。
Notionなら、ボタンをワンクリックするだけ。
裏側では以下の処理を一瞬で行っています。
- Statusを「未着手」に戻す(やりかけをリセット)
- Dateを「今日」から「明日」に書き換える
- 担当者へのメンション通知をOFFにする(夜中の通知防止)
「タスクを複製しない。移動させるだけ」
この感覚を掴んだ瞬間、クライアント様の業務フローは劇的に軽くなりました。
「記憶に頼る仕事」から「仕組みに任せる仕事」への変革です。
もしあなたの会社で「あのファイルどこだっけ?」「あれやったっけ?」という会話が飛び交っているなら、それはツールの限界かもしれません。
まずは一度、あなたの事業の「設計図」を見直してみませんか?