「マルチセレクトで並び替えたい」という相談
あるクライアントとのミーティングで、Notionデータベースの並び替えについて相談を受けました。
リスト管理用のデータベースで、マルチセレクトプロパティを使っている。同じカテゴリーの項目をグループ化して表示したいのに、同じタグが付いているはずの項目がバラバラに表示されてしまう。
最初に私が考えたのは、「技術的にどう解決するか」でした。数式プロパティで並び替え用の値を作るか、ビューのフィルタリングで対応するか。
しかし、話を聞いていくうちに、問題はそこではありませんでした。
【Before】1つのプロパティに、全部入っていた
データベースの中身を確認したところ、1つのマルチセレクトプロパティに、こういった情報が混在していました。
- 担当する人の名前
- 購入する場所
- 調達の方法(購入済み、持参、オンラインなど)
人、場所、状態。まったく異なる種類の情報が、1つのタグ欄に同居していたのです。
これでは、並び替えがうまくいかないのは当然です。Notionのマルチセレクトは、付けた順番にタグが並びます。「調味料」でグループ化したくても、「担当者A」「オンライン」といった別種のタグが混ざっているため、意図した順序にはなりません。
マルチセレクトは「ラベルを貼る」ためのプロパティです。1つの項目に複数のタグを付けられる代わりに、選択肢の並び順で項目を整列する機能は持っていません。これはNotionの仕様であり、不具合ではありません。
【Notice】「プロパティを分ける」という発想
並び替えの問題を技術的に解こうとしていた私ですが、途中で気づきました。
そもそも、1つのプロパティに入れるべきではない情報が、まとめて入っていた。
本来、こうあるべきでした。
| 情報の種類 | 適切なプロパティ | 理由 |
|---|---|---|
| 担当者(人の名前) | セレクト | 1つの項目に担当者は1人。並び替え・フィルタも必要 |
| 購入場所 | セレクト | 1つの場所で購入する。場所別に並べたい |
| 調達方法 | セレクト | 状態は1つ。グループ化して管理したい |
| 補足ラベル(任意) | マルチセレクト | 複数付くことがある。並び替え不要 |
つまり、並び替えたい情報はセレクト、ラベルとして貼りたい情報はマルチセレクト。この使い分けが、データベース設計の基本です。
セレクト:選択肢に順番がある。並び替え・グループ化に使う。1つだけ選ぶ。
マルチセレクト:順番は関係ない。ラベルとして貼る。複数選べる。
この違いを意識するだけで、「並ばない」問題の多くは解消します。
【After】プロパティを分けたら、一瞬で解決した
ミーティング中に、その場でプロパティを再設計しました。
- 新しいセレクトプロパティを3つ作成(担当者・購入場所・調達方法)
- 既存のマルチセレクトから、各プロパティにデータを移行(Notion AIを活用して一括処理)
- ビューを切り替えて、複数の視点で表示(担当者別・購入場所別・調達方法別)
結果、担当者で並べたければ担当者プロパティで並び替え、場所別に見たければ場所プロパティでグループ化。「並ばない」という課題が、プロパティを分けるだけで解消しました。
データの移行にはNotion AIを使いました。「このマルチセレクトの値のうち、人名を担当者プロパティに移して」と指示するだけで、数十件のデータが数分で整理されます。手作業で一つずつ直す必要はありません。
感覚でやっていたことを、言葉にする
正直に書くと、私自身はこの使い分けを「感覚」でやっていました。
日常的にNotionのデータベースを設計しているので、並び替えが必要ならセレクト、ラベルならマルチセレクトという判断を、特に意識せずにやっています。だから、マルチセレクトの並び替えで困った経験がなかった。
しかし、初めてデータベースを作る人にとっては、その感覚はありません。マルチセレクトとセレクトの違いは、公式ヘルプを読んでも「複数選べるかどうか」くらいしか書かれていません。「どういう場面でどちらを使うべきか」は、使い込んだ人の中にしかない知識です。
今回の経験で、改めて感じたことがあります。
データベースは「作り方」の段階から伴走が必要だということです。プロパティの種類をどう選ぶか、情報をどう分けるか。この最初の設計判断が、その後の「使いやすさ」をすべて決めます。
この記事のまとめ
- マルチセレクトは「ラベル」:複数のタグを貼るためのもの。並び替えには向かない
- セレクトは「分類」:1つ選んで、並び替え・グループ化に使う
- 異なる種類の情報は、別のプロパティに分ける:人・場所・状態を1つに混ぜない
- データ移行はNotion AIで効率化:手作業で直す必要はない
- データベース設計は「最初の判断」が重要:プロパティの選び方が、使いやすさを決める