「プラットフォームごとに手数料が違って、実際いくら入るのか分からなくて」
フリーランスでライティングの仕事をしているクライアントから、こんな相談をいただきました。
案件を受けるプラットフォームは複数ある。それぞれ手数料率が異なるうえ、金額によって変動するサービスもある。請求額は分かっても、手取りが一目でわからない。
さらに、入金確認も別途おこなっており、「入金されたかどうか」の管理が追いつかなくなってきていると言います。
過去の案件実績は数百件に及んでいました。しかしスプレッドシートに蓄積されたそのデータは、増え続けるだけで、振り返りや集計には使えていませんでした。
管理の「全体像」を整理する
まず、何を管理したいのかを整理しました。出てきたのは、以下の流れです。
- 案件を受けたら、依頼者をクライアント台帳に登録する
- 案件ごとに目標文字数を設定し、日々の執筆文字数を記録する
- プラットフォームを選ぶだけで、手数料を引いた実収入が計算される
- 月ごとに「目標文字数 / 執筆文字数 / 残り文字数」をダッシュボードで確認できる
- 入金が完了したか確認できる専用のステータスを持つ
これをNotionで構築することにしました。
仕組みの設計:「登録→記録→集計」の流れをつくる
ステップ1. クライアント台帳から始まる
案件を受けたらまず、クライアント台帳に依頼者を登録するところから始まります。
クライアント名、請求名、どのプラットフォームから受けた依頼かを記録します。このクライアント台帳が、すべての案件の起点になります。
ステップ2. 案件ごとに文字数を管理する
クライアントを登録したら、案件を作成します。案件には目標文字数を設定し、毎日の執筆実績を「日報」として入力していく仕組みです。
1つの案件に複数のサブタスク(個別の依頼)がある場合は、それぞれに文字数を入力すると、親案件の合計に自動で反映されます。
月次集計の二重カウントを防ぐため、集計に紐付けるのは親案件のみに設計しています。サブタスク単体を集計に含めると、数値が膨らんでしまうためです。
ステップ3. プラットフォームを選ぶだけで収入が計算される
売上管理のポイントは、プラットフォームの選択欄を設けたことです。
利用しているクラウドソーシングサービスはそれぞれ手数料率が異なります。さらに、受注金額によって手数料の割合が変わるサービスもあります。
案件にプラットフォームを設定して単価を入力するだけで、手数料を差し引いた実収入が自動で計算される仕組みにしました。「請求額」ではなく「手取り額」が即座にわかります。
ステップ4. 月別ダッシュボードで進捗を把握する
月次の集計ビューでは、以下が一覧で確認できます。
- 目標文字数:その月に書くべき合計文字数
- 執筆文字数:実際に書いた合計文字数
- 残り文字数:目標まであと何文字か
当初、目標文字数を超えると「完了」と自動表示される設計を試みました。しかし、目標が設定されていない案件や、途中で変更になったケースで混乱が起きやすいことが分かりました。
そこで「完了」ステータスの自動表示は削除し、「残り文字数」の数字だけを見るシンプルな設計に変更しました。
ステップ5. 入金確認を「仕事の進捗」から切り離す
仕事が完了しても、入金はタイムラグがあります。
作業ステータスとは別に、「入金進捗」という専用のステータスを追加しました。入金が完了したものを確認しながら管理できる仕組みです。
「やり終えたのに入金されていない案件」がひと目でわかるようになります。
過去の実績データも、すべて取り込む
今回の構築でもう一つ対応したのが、過去数百件に及ぶ案件データの移行です。
これまでスプレッドシートに蓄積してきたデータをNotionに取り込み、月別の集計にも反映されるよう設定しました。過去の実績が、今月の目標設定の参考にもなります。
関連する請求書などのファイルは、Googleドライブに保存しそのURLをNotionに貼り付けておくことで、案件ページからいつでも参照できます。
「収入が見えない」は、管理の構造の問題だった
フリーランスの収入管理が難しいのは、意志や習慣の問題ではないと感じます。
プラットフォームが複数あり、手数料が異なり、入金タイミングもバラバラ。それらを一か所で把握できる「構造」がなかっただけです。
- クライアント台帳:依頼者を登録して案件管理の起点にする
- 文字数管理:日報として入力し月次集計に自動反映
- 手数料計算:プラットフォームを選ぶだけで手取りが出る
- 入金進捗:作業完了とは別に専用ステータスで管理
構造さえ整えば、入力はシンプルな繰り返しになります。
「いくら稼いだか」ではなく「いくら手元に残るか」が、日々の仕事の中で確認できる状態。それが、今回の構築で実現したことです。